- 子どもたちが初めての英検S-CBTに挑戦するも大苦戦。課題はPCと試験時間。
- 準1級はトータル2時間20分。ずっとPC画面を見続けるのは「しんどい」。
- 検定の結果も遅い。小中学生は年3回の従来型に絞った方が効率的。
- ご家庭に金銭的余裕のある、高校生1・2年生の受験対策向けでは?
異動時期の4月は仕事も忙しく、すっかりブログ更新がごぶさたしてしましました。
こないだの日曜日(4月18日)に、子どもたち2人が新しくなった英検S-CBTをそろって受検しました。
長女パー子(小4)は準1、長男のび太(小2)は2級です。
結果の予想ですが、おそらくどっちも不合格です。
ネックとなったのは、ひとえにPC操作です。
子どもたちは普段、自宅ではiPadを利用していますが、デスクトップPCは与えていません。
S-CBTにはメリット・デメリットそれぞれありますが、本人たちからいろいろ話を聞くと、やはり「小学生には従来型英検の方がいい」という結論に至りました。
そのあたりを今回、まとめます。
■当日の試験の流れ→従来型と逆順
従来型は1次試験でリーディング(R)・ライティング(W)→リスニング(L)の順に取り組み、
2次試験の面接でスピーキング(S)の技能を試験します。
一方、S-CBTでは、試験の順番は従来型と逆で、S→Lをやってから、R・Wです。
4技能すべて1日で終わらせますので、準1なら135~140分、2級も120分程度の試験時間です。
パー子の準1級の場合、Sが15分ちょい。全5問の問いかけに対し、聞き直しが各1回だけできます。
なので、毎回聞き直すと試験時間は20分弱、聞き直しをしなければ15分ぐらいで終わります。
そこから、休憩なしにLに突入です。
こちらは従来型と同じで、聞き直しは不可です。これが全3部構成で30分あります。
ガイダンスに従って終えると、すぐにR・Wが90分です。
■S-CBTのメリット
先にメリットのおさらいです。 これは公式ページでも紹介されていますね。
www.eiken.or.jp
(1)試験会場が多く、平日も実施なので多くの候補日がある。
従来型よりも近場で、都合のいい時間を選べます。
ただし、会場によってすぐに定員埋まりますので、早めの申し込みがオススメです。
英ナビや英検IDを登録しておいて、申し込み開始のお知らせメールが届くようにしておくと、忘れないで済みます。
(2)年に6回受けられる。
これが最初、とても魅力的に思いました。
デメリット編で後述しますが、そんなに単純な話でもなかったです。
(3)S-CBTでも「一免」がとれる
Sのスコアが悪くても、RWLのスコアが合格基準を超えていると「1次試験免除」がもらえます。
それを従来型英検の申し込みに流用できます。
なので、S-CBTでもRWL狙いに特化して取り組むことで、1次試験代わりに使うという手もあります。
(4)費用が安い
準1級で1万200円、2級は9700円、準2級8700円など。
それぞれ従来型本会場よりも500円安いです。
ただ、一番安いのは英語教室などで実施される準会場(5級~2級まで)です。
(5)「密」を避けられる
個別のブースに座りますので、従来型のブースよりも若干ですが、隣席との間隔に余裕があるようにみえます。
また、テストセンターの会場も従来型ほど大規模ではなく、比較的狭い民間の会議室のような場所を使います。
1カ所に参集する人数は少ないように見えます。 これはちょっと安心材料でした。
■デメリットもそれなり
(1)パソコン画面の英文は「目が滑る」
PCで文書を読むのに慣れている大人は多少なりとも対応できそうですが、子どもにとってはやはり不慣れのようです。
確かに塾でも多くの試験・模試はペーパーです。
PCモニターに表示される問題文をずっと集中して読むのはつらいとか。
一応、マウスで操作してメモやマーカーで印を付けられますが、鉛筆を動かしながら読むほうが「早く読める」と言っていました。
まあ、そうですよね...。さらにPCのモニターが顔正面よりも高い位置にありますので、目線が上向きになるそうです。
うちの子は二人とも「肩がこった」とぼやいていました。
(2)試験時間が長すぎて集中力が持たない 栄養補給も不可
準1級は140分ぶっ続け。最後まで集中力が持たないそうです。
正直、少し隙間時間があるかと思い、小さなチョコレートを持たせたのですが、全く口にする時間がなかったそうです。
そもそも、入室時点で試験部屋の外にロッカーがあり、受験票以外はすべてそこにしまわなければならず、水筒も持たせましたが、無駄になりました。
従来型も途中でおやつタイム、というワケにはいきませんが、筆箱にチョコレートをしのばせるぐらいはできます。
S-CBTは筆記用具も持ち込めません。座席に用意されたペンとメモ帳が使えるだけです。
パー子は試験終了後、開口一番「長げーっよ!後半、集中力が切れた」とぼやいていました。
(3)パソコン操作に不慣れで時間をロスする
のび太が苦労したのがPCの操作だったそうです。
小学校高学年以上ですと、マウスの操作も慣れていると思いますが、カーソルをうまく動かせずにいらいらしたようです。
残り時間が画面に表示されるのはいいんですけどね…。
途中で飽きてしまって「適当にクリックした」といってました。こりゃだめだ。
(4)試験問題を持ち帰れない→解き直しができない
従来型だと試験問題を持ち帰り、家で自己採点をしたり、解き直しをしたりすることができますが、S-CBTは不可です。
会場や日付ごとによって同じ問題を重複して使われているのではないかと勝手に予想しています。
(5)合否発表が思ったより遅い→年6回の受検は無理
S-CBTは結果がでるまで約1カ月かかります。
マークシートの従来型であれば1次試験は半月後に出ますので、正直なところ遅すぎると思います。
受けるまで気づきませんでしたが、結果の遅さは結局、受検回数に影響します。
4月に受けたS-CBTの結果が出る前に、5月分の申し込み締め切りが過ぎてしまい、6月分の会場の定員も埋まってしまいます。
英検サイトで「年6回、受けられる」「従来型と組み合わせれば9回」とうたっていますが、
実際は合否の結果が出る前に、不合格前提で次の日程の申し込みをすることになります。
あとから合格が分かっても、すでに申し込んだ受検級は変更できません。
これ、どうよ?と思いますね。「6回受けられます!(でも金をどぶに捨てる覚悟で)」というのは、不親切な表示だと思いました。
■S-CBTを活用できそうな層→お金に余裕のある高校1、2年生
メリット・デメリットを見比べて、どういった層が活用できるのか、考えてみました。
新S-CBTは2024年の大学入試改革を受けて、大学受験での活用をもくろんでいるのだと思われます。
あわせてタブレットやスマホ、PCで電子文字を読むことに慣れている年齢となると高校生から以上でしょう。
また、予備校の模擬試験や学校の定期試験と日程がかぶらずに受検できるので、高校生からすると選択の幅が広がると思います。
大学入試に民間検定の成績を使おうと思うと高3での受検は遅いので、
合格すれば無駄になるのを承知で、じゃんじゃん受検申し込みができる、すこし裕福な家庭の高1,2年生あたりでしょうか。
さて。
うちの子どもたちの次回の英検チャレンジは5月の従来型です。
のび太は当面、従来型だけでいいかなと思います。パー子は「一免」を獲得のため、6月のS-CBTを受けてみようと思います。